サステイナブルなエネルギー・炭素循環を支えるスマートフォレストIRTとは
森林価値を試算する評価システム、また森林の価値を永続的(サスティナブル)に産出する計画(プラン二ング)とその導入に対する経済性(コスト)のコンサルティングシステムといったIT基盤技術が生み出されつつある(東大仁多見先生)。このようなIT技術による評価・プラン二ングに加え、実行力(ソリューション)としての林業ロボット技術を開発することを目標とする。
海外の欧州では森林へのRT技術の応用が盛んであり、下図のような林業用ロボットが開発されている。しかし、樹木間隔が比較的広く、また傾斜も緩やかな欧州用土地に対応して作られており、日本の急峻でかつは林の間隔も狭いところがあるような場所に適さない。一方、中国、東南アジア地域では、日本と同様な地形を有する国が多くあり、日本の技術力を生かし、その地域に合った林業技術の開発は、このような国々への展開、貢献を期待することもできる。
このような点に鑑みるに、単純にRT技術の延長上の技術を開発するのではなく、IT(Information Technology)+ RT(Roboot Technology) = IRTという融合技術の導入と開発を目指し、
- 森林評価システム用モバイルセンシング
- 伐採ナビゲーションの現実
を目指す。これにより、森林状況を比較的任意の機会にリモートセンシングが可能となり、これを森林評価ITシステムと連動することでリアルタイム性に優れた林業プランニングが可能となる。また、センサとタブレット等から構成される持ち運びに優れたモバイル伐採ナビゲーションシステムにより、適切な伐採ガイドを行うことで、高い事故率である伐採作業の高安全化を図る。
林業を取り巻く環境
森林は,木材・バイオマスといった燃料資源,CO2吸収,水質保全,水源貯蔵,表層土砂保全といった環境保全機能,森林浴などのレクリエーションといった多様な価値を有する
地域に適した運用⇒エネルギー生成・消費というサイクルを永続的に続けることが可能.サイクルにおける炭素バランスが取れる大きな利点がある.
日本の森林資源
- 国土面積に占める森林面積7割
- 先進国では1:フィンランド,2:スウェーデン,3:日本
- 5割(1300万ha):天然林,4割(1000万ha)人工林
- 日本の森林価値:70兆円/年と言われている
現在の林業における問題点
- 林業資源の価値低下とコスト増
- 造林・保育コストが高い
機械化進まず「人工作業として残って」しまっている.
人件費が増加&危険な作業によるけがや事故率高 - 造林補助金:およそ35万円/ha(330万haの間伐整備を行うと約1兆1500億円)
- 補助金に頼らない林業のためには
素材生産量として主伐13m3/人日(現状の平均的な生産量が2~6m3/人日)
造林・保育コスト2割縮減
主伐生産量増加には高性能林業機械(ハーベスター,プロセッサー,グラップラー,フォワーダ等)の導入が有効であるが、効果的な利用には、効果的な利用:幅員3.5m以上,180~200m/haの高密度路網整備が必要では、小さな区画毎に所有者が異なるような日本の場合,大規模化がしづらいという課題がある.

タワーヤーダー
移動が容易にできるのが特徴

プロセッサ
植林地視察(埼玉県 秩父市)
視察してわかったこと
- 傾斜が想像以上に急(最大傾斜40°以上)
- 地面がぬかるんでいてすべりやすい
- 伐採された材木や枝木が放置されている
- 植林数に対し、作業員が少ない
- 現場までの道のりが大変(通常車道から徒歩で1~2時間)



プロジェクトの目的
望まれるIT+RT=IRTの導入と開発

林業における3つの課題:産出木の価値低下,造林・保育コスト高,従事者離れを解決し
- 高付加価値化
- 生産活動の高効率化
- 高安全化
を実現するためにIT+RT=IRTの導入と開発が望まれる。
- 林業で「残ってしまった」人の手作業を機械化に向けてまず「見える」ようにすることが重要
→IRT技術による見える化 - 人にとって代わるのでだけではなく,「サポート」する
→フォレストワーカー支援 - このようなIRT技術を導入できる環境山の「インフラ」整備
開発目標
技術的背景:林業におけるIT基盤技術(東大 仁多見先生)
- 森林価値を試算する評価システム
- 森林の価値を永続的(サステイナブル)に産出する計画(プランニング)
- 導入に対する経済性(コスト)コンサルティングシステム
IT技術による評価・プランニング+実行力(ソリューション)としての林業ロボット技術を開発することを目標
- 森林におけるIRT実装を可能とするインフラ設備
- 森林におけるソリューションとしてのIRT創出
研究内容
- Smart Forest IRT(ソリューション)の研究開発
- 森林評価システム用モバイルセンシング(見える化)

期待される開発効果
コンサルティングシステムと連動することによりリアルタイムにプランニング・シミュレーションを可能とし最適効率な手法を提案する
森林を「見える化」することにより生産者ー消費者距離を縮める

- 伐採ナビゲーション(サポート)

- 下草刈りサポート(サポート)
- Smart Forest IRT(インフラ整備)の研究開発